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池波 正太郎『江戸の味を食べたくなって』 [食と酒]
池波正太郎の食のエッセイの最高峰と言えば
散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)
であることは言うまでもない。
そこに繰り広げられる池波ワールドはまさに我々のバイブルである。
資生堂パーラー、藪蕎麦、竹むら、煉瓦亭、前川、重亭等々、どれだけこの本で知って食べ歩いたことか。
何度読んでも飽きず、何度訪ねても食べ飽きず。
池波ファンは池波正太郎と同じように食べ歩くことを生涯の目標としていると言っても過言ではあるまい。
池波正太郎没して20年だそうである。
今年の春、新潮文庫よりこの本が出た。
池波正太郎の文庫化されていない食についての文章を1冊にしたものである。
あちらこちらの出版社で池波人気にあやかった同様の本が出続けているが、
売れると言う目算が立つ作家だからなのだろう。
生前の食についての本の物足りなさから、ついつい発売されるたびに手にとってしまう、
池波正太郎食のエッセイシリーズであるが、
読むたびに、やはり読んでよかったと思わせる力がある。
今回も聞いたことがあるような話が繰り返されるのではあるが、
いつ読んでも飽きない池波ワールドに魅了されるわけである。
小林 明子『せやし だし巻 京そだち』 [文化]
時々京都へ行く機会があります。
仕事だったり、プライベートだったり。
京都は外から行く者にとっては歴史のテーマパークだと思います。
京都の町中に散りばめられた旧所・名跡。
それに伝統的な工芸や食の数々。
京都は何度行っても飽きることがありません。
さて、そんな京都でありますから、ガイドブックと名の付く本は多種多彩。
大きな書店に行けばたいがいは「京都コーナー」があるほど。
そんな数多ある京都ガイドの中でも、私が自信を持ってお勧めするのがこの本です。
「せやしだし巻京そだち」
京都中心部の呉服問屋に生まれた原作者による京文化の案内書。
いわゆる「いけず」や「けち」がこの本にはたくさん散りばめられています。
それでもほほえましい感じに満ち溢れているのは、
女の子の目を通した京都人気質だからなのでしょうか。
この本を読んで思わず「永楽屋」の「一口椎茸」を買いに走りました。
なぜ?と思う方はぜひ読んでみてください。
面白くてグルメ情報も満載ですよ。
司馬 遼太郎『北のまほろば―街道をゆく〈41〉』 [エッセイ]
『街道をゆく』シリーズもついに41巻まで読み進みました。
倭は国のまほろば
日本に稲作農業が広がった5,6世紀
望郷の念を持って大和のことをそう呼んだ。
伝説では日本武尊が呼んだことになっている。
だが、稲作が伝来する前、縄文時代にはまほろばと言うべき場所はどこであったか。
それは青森県、特に津軽地方こそがまほろまであったのではないか。
と、実に興味深い視点でこの紀行は始まります。
稲作が中心になっている今の視点・現在の史観から見ればやや違和感を覚えることではありますが、
稲作が始まる前の狩猟採集生活では、海の幸・山の幸に恵まれた場所こそがまほろばと呼ぶに相応しい。
そう考えると、冬の寒い時期でも豊富な食料に恵まれた地はとても住みやすかったに違いありません。
弥生時代以降を正史として学んだ我々にとっては目からウロコが落ちるような視点で
「北のまほろば」を見つめたこの紀行はシリーズの中でも白眉といえる作品。
日本人観がひっくり返るような内容です。
小西 政継『グランドジョラス北壁』 [北壁]
この本を紹介するのは2回目です。
古書店主という仕事をしていると、一般の方よりは本をよく知っているだろうと思われるようで
時々、「おすすめの本はなんですか?」という内容の質問を受けることがあります。
先日もある若い雑誌編集者と飲んでいる席でおなじようなことを聞かれました。
本というのはなんでもかんでも読めばいいというものではありません。
誰に読んで欲しいのかによって当然おすすめの本は変わります。
誰に勧めればいいのかを編集者に聞くと、ある注目のトップアスリートにお勧めしたいとのこと。
ならば。
どんな分野でもある程度のレベルに達した人間に「自分探し」の本は不必要。
頂点を目指すもののみが必要とする精神というものがあるはず。
そういうアスリートたちに絶対にお勧めしたい本がこれです。
グランドジョラス北壁。
アルプス三大北壁と言われ登頂者を寄せ付けなかった山に挑むものたちの物語。
しかもこれはトップクライマー自らが語った貴重な証言です。
この本の冒頭はグランドジョラス北壁の登頂史に費やされます。
冬のアルプスに登ることが、いかに事前の研究が必要なことなのか、
一つ誤れば死が待っている極限に挑むとはどういうことなのか、
冒頭の研究からその意気込みが伝わってくる感動的なストーリーです。
これはぜひぜひあらゆる分野でトップを目指す人に読んでもらいたい。
トップアスリートに薦める前に自分で読んでみた若き編集者の証言は、
「これはすごい本でした・・・」
とのことでした。
志賀 直哉『小僧の神様・城の崎にて』 [小説]
昨年の冬、知人から城崎に行ったという話を聞いた。
どうも、宴会でドンチャン騒ぎをした上に、蟹もたらふく食べたらしい。
冬の日本海岸で蟹食べ放題か~(ポワーン)。
ずいぶん楽しそうだ!
ということで城崎とはどういうところだろうかと気になった。
そこで思い出したのがこの小説の題名、
『城の崎にて』
そんな話を聞いた後だったものだかから、タイトルから
ついつい蟹の食べ放題を想像してしまった。
ところが読んでみると、蟹の「カ」の字も出てこない。。。。(当然か)
内容は電車に轢かれケガをした著者が療養に城崎に行き、
その療養生活の中で感じたことを書いた私小説。
蜂がどうした、鼠がどうした、蜥蜴がどうしたというものである。
同じ城崎でも随分行く人によって感じ方が違うものなのだなと、思った次第である。
志賀直哉といえば、言わずと知れた「小説の神様」
こんな読み方をされては、たまったものではないだろうね。(笑)
ユーフラテス『あたまがコんガらガっち劇場』 [絵本]
前回紹介したユーフラテスによる作品です。
こんがらがっちどっちにすすむの本は子供向けの絵本でしたが、
こちらは77編の4コマまんが。
どちらかというと大人向けの本と言えるでしょうか。
私は毎晩4歳の娘とこれを読んでいます。
数学の研究室から生まれた本だけあって、
数学や物理学モチーフが所々に散りばめられ、ちょっと知的でもあります。
この本の圧巻はカバー裏!(間違いではありませんよ~)にびっしり描かれたこんがらがっち生物全144図。
これを見るだけでもこの本を買う価値は十分にあります!
まぁ、見たことがない人にはなんのことかさっぱりわからないでしょうから、
まずは、手にとって見てみることをおすすめします。
一度手に取れば、まか不思議なゆる~い
こんががらがっちの世界にハマること間違いありません!
ユーフラテス『コんガらガっち どっちにすすむ?の本』 [絵本]
私は一日に5~6冊は本を読んでいます。
と言っても活字がぎっしりの本をそんなに読んでるわけではありません。
タネを明かせば・・・。
4歳の娘が毎晩本を読んでくれとせがみます。
娘は絵本の蔵書を数十冊持っていて、その中から、毎晩数冊を選んではせがむのです。
連日けっこう夜更かしで、私は本は読んでるうちに眠くなり、1~2冊ならともかく、4~5冊目ともなるとほとんど拷問です。
娘はそんな私の眠気などに関係なくとにかく読んでくれ読んでくれと。
そういうわけで私は毎晩のように5~6冊は本を読むことになるのです。
さて、そんな絵本好きな娘が今一番ハマっているのがこの本です。
作者の名前は「ユーフラテス」とちょっと変わっていますが、
このグループは慶応大学佐藤雅彦研究室の卒業生からなるクリエイティブグループだそう。
NHKテレビの『ピタゴラスイッチ』の「ピタゴラ装置」の作製でもおなじみです。
内容は、コンガラガっちという複数の生物がこんがらがってできた生き物、
その中でも「いぐら」という「いるか」と「もぐら」がこんがらがって出来た生き物が主人公で
「友達の家に遊びに行」ったり
「お昼ご飯を食べた」り
「道に迷った」りする、ちょっととぼけたお話。
脇役で出てくるこんがらがっちたちもとてもいい味を出しています。
これがけっこう大人でもハマってしまう面白いもので、
娘が「きょうはなにをよもうかな~」と迷っていると
「こんがらがっちにしたら?」
と誘導して、私が読めるように仕掛けています(笑)
加藤 保男『雪煙をめざして』 [北壁]
私は山の本を読むのが大好き。
それも、生死の境を彷徨うような壮絶な物語が大好きです。
雪山での苦闘・遭難、あるいは頂点への到達。
こんな身震いするような物語はなかなか他では味わえません。
それを寒い季節に、暖かいコタツの中で読む。
そんな幸せなことはありません。
この至福の楽しみを広げようと、私は「北壁読書会」なる会を主催していますが、
数多くの勧誘を試みるにも関わらず、ちっとも会員が集まりません。
私の啓蒙活動が足りないのでしょうか。。。
いつも忸怩た思いを抱いておりました。
実はここに紹介する『雪煙をめざして』の著者サイン本が私の店に在庫していました。
ある日、あるお客様がその『雪煙をめざして』を手にとり
「これはすごい!」と声を上げました。
サインには日付があり、それは著者が遭難する直前の日付だったのです。
それからしばし、山の本談義で盛り上がり、
このような本が好きなのは私だけではなかったのだと、
溜飲を下げたのでした。
・日常に疲れている。
・最近感動していない。
・なんでもいいからドキドキしたい。
そういう方々はぜひこの本をお読みください!
日本ミシュランタイヤ株式会社『ミシュランガイド京都・大阪 2010 日本語版』 [食と酒]
発売は10月16日だそうで、まだ私は読んでないのですが、
本日、京都・建仁寺で盛大に出版発表会が開かれたそうです。
出席者の顔ぶれを見ると観光庁長官や京都市長も出席していて、
ミシュランというのはものすごい影響力があるのですね。
京都「きくのい本店」、「吉兆」、「みざい」、大阪「はじめ」等
前評判の高かったお店にきちんと三ツ星がついたようです。
全部まわるというような、大それたことは望みませんが、
掲載店の1件くらいは行ってみたいものですね。
富田 昭次『「極み」のホテル―至福の時間に浸る』 [旅行]
まぁ、何が羨ましいって、移動することが仕事になる人は羨ましい。
私は仕事柄、店に座っていることが一番効率のよい仕事なので、
長期間どこかに出かけるということがない。
たまには一週間と言わなくてもせいぜい2~3日、
仕事も離れのんびりしてみたいものだが、
貧乏性でもあり、なかなかそうはできない。
せめて、この本でも読んで、世界中のホテルに行った気分にでもなってみよう。
それにしても羨ましい本だ。
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